悔しいけど好き
はっ!?いけないいけない!
溺れ死ぬところだった・・・

お風呂から上がり念入りにお肌のケアをし、しっかり髪を乾かしてバスルームから出たのはあれから1時間後。
そろっとドアを開けてリビングの様子を窺うとシーンと静まり返ってる
電気が付いたままのリビングに入り見回しても奴はいない。
もしや、帰った?

あのバスローブがソファーに掛けてあった。
やっぱりこれの着心地が悪くて裸でいられないからタクシーで帰ったのかな?

なーんだそうかと安心して寝室に入るとクローゼットの前に奴のスーツがきちんとハンガーに掛けられていた。
ぎゅん!と右下のベッドを見るとこんもりと盛り上がっているのが見えた。

「こ…こいつ…!」

電気を点けて近付けば奴が上半身裸でスヤスヤと眠ってるではないか!

叩き起こそうと思ったけど、今も残る目の下のくま。
案外幼い顔をして気持ちよさそうに寝てるもんだから、ふうっと、ため息ついて握った拳を解いた。


にしても・・・

何で自分の家なのに狭い二人がけソファーで寝なきゃいけないのよ。
ブランケットを掛けてソファーで丸まって目を瞑ってみるもなんだか腑に落ちない。
だからって奴と同じベットで寝るわけにはいかないし、予備の布団なんてないし、床で寝るのは身体が痛そうだし、ソファーしかいるところがない。

「はぁ、仕方ない…今日だけ、今日だけ…」

奴に素直に仕事を回してもらうためだ。
今日だけは許してやる。

明日、朝イチで追い出してやる。

なんだか疲れた。
あいつといると体力消耗されるわ・・・・

・・・・

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