悔しいけど好き
「ねえ…たまにでいいって言ってなかった?」
「ん?いつでもいいって言ったじゃん?」
顔をヒクつかせる私の横をすり抜けずかずかと部屋に入って行く奴。
家に絶対入れない!と断固拒否していたにも関わらず奴は私の家に上がり込み、勝手にお風呂に入り置いてった着替えを着て、私の作ったご飯を食べ泊まっていく。
それがなぜか週に二、三度のペースでしかも金曜は必ずやってくる。
私も何で押し切られて流されてるのか分かんない。
「ねえ、彼女とのデートとかあるんじゃないの?」
「…そんなもんいねえよ、俺は今仕事で忙しいの!」
付き合いは悪くないと思うんだけど奴は最近仲間や先輩方の誘いも断ってここに来ているらしい。
そっちに行ってくれれば私も一人を満喫できるというのに。
私はソファーの上で膝を抱え、奴はソファーの下で胡坐をかいて、二人でお茶片手に何気にテレビなんて見てる
コーヒー無いの?という奴をじろりと睨みそんなものありません!と一喝。
渋々うちにあるお茶、紅茶、ハーブティを文句も言わずに奴は飲むようになった。
定位置になりつつあるこの状況にだんだん慣れてきた。
「あ、秘書室の荒川さん!あんたに告白する!って息巻いてたそうだけどどう?告白された?彼女あんた好みの美人だからいいんじゃないの?」
「されてねえし…お前、よくもまあそんなこと言えるな?」
「えっ、ちょっ…」