悔しいけど好き

素直になれない私

……

「あづい~」

「クーラー効いてないのココ?」

「ちょっと今調子悪くて…」

「え~~~~?」

夏の盛りの夜。
暑くて窓辺で団扇を仰いで涼んでいると後ろで文句を言ってくる奴を振り向きざま睨んでやった。

「文句あるなら帰りなさいよ!あんたの家の方が涼しいんじゃないの?」

「あ、いや、暑い中冷え冷えのビールはうまいな~」

誤魔化してごくごくと美味しそうにビールを飲んでる奴をもうひと睨みして三日月の浮かぶ空をもう一度見た。

あれから3か月が過ぎ、すっかり私も奴も体調は戻り元気なんだけど、今は夏バテしそうでこの暑さに辟易してる。
仕事は順調そのもの。二人で成果を上げている。

「なぎ―、ビールお代わり!」

「自分で取りなさいよ!バカ鷹臣!」

「ちぇー、けち」

ぶつぶつ文句言いながらビールを取りに行く奴をちらりと見てまた外に向ける。
相変わらず奴は私の家に入り浸り、関白亭主宜しく私をこき使う。

いつの間にか名前で呼ばれるようになって私も名前で呼べと強制され拒否すれば鼻をかじられる始末。
その内鼻がもげてしまうのではないかと恐ろしい…

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