悔しいけど好き
未だにクスクス笑う明莉を睨んで残りのビールをかっくらう。

鷹臣は向こうで女子に囲まれ鼻の下を伸ばし楽しそうにしている。
私の入る余地何てこれっぽっちもない。

…って!入る気もないけどね!

「いいのぉ?そんなこと言ってたら誰かさんに横からかっ攫われるよ?」

「だから!そんなんじゃないし!勝手にどっか行っちゃえば私も清々するのよ!」

「ふーん、素直じゃないんだから」

まだにやけ顔の明莉にそっぽを向いてムカムカする胃を鎮めるために美味しそうな料理を黙々と食べた。

「お、なんか随分がっついてんな?羽柴」

「凪ちゃん一人?神城くんは?」

「正木部長…美玖さん…」

無心で食べてると正木部長達営業部の仲間が私を見つけ来てくれた。

「あれ?神城は?一緒じゃないの?」

営業の山本さんが周りを見渡し奴の姿を探す。
まったくどいつもこいつも…

「あのね、美玖さん、山本さん、私と神城を二人一組と捉えるのやめてくれます?あいつなんて私は知りませんから!」

「え?でも、神城くんと凪ちゃんはパートナーなんだからいつも一緒じゃない」

「そうそう、最近仲良くやってるし、やっと二人はくっついたかと喜んでたんだけど?」

「だから!仕事で一緒にやってるだけで!くっついてませんから!そこ!勘違いしないでください!」

「ったく、素直じゃないねえ…」

「凪ちゃん、落ち着いて…」

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