悔しいけど好き
意外な奴の一面
翌日待ち合わせの駅に立ち明莉を待った。
7時を20分過ぎてやっと来た明莉。
「凪~!ゴメン!寝坊した~」
散々寝坊するなと言った明莉が寝坊して慌てて走って来た。
「うん!全然大丈夫~」
「……凪、何かあった?」
「え……何で?」
明莉は私の顔を見た瞬間に怪訝な顔をした。
カラ元気がバレたのかじろじろ見られて冷や汗が出る。
「そ、それより乗り遅れちゃう!早く行こう!」
明莉の手を引いて駅構内へと走る。
さすがはお盆休みだけあって人だらけでなかなか目的の乗り口に行き着かない。
時間はギリギリで滑り込んだ新幹線のドアがすぐ後ろで閉まった。
「ああ~間に合った!」
「ゴメン凪!」
「いいのいいの!ほら座席行こう!」
私達は込み合う車内を歩き指定席に着いた。
新幹線は満員。
早い内に指定席を取っといて良かった。
「あ、車内販売!私朝ごはん食べてないんだ!駅弁買おうよ。明莉もどうせ食べてないんでしょ?」
「ははっ、その通りです」
苦笑いの明莉ににっこり笑って近くまで来た車内販売のお姉さんに合図を送った。