悔しいけど好き
二人並んで入った湯船は桧の良い匂いがして空をあおいで目を細め眺めていた。

「気持ちいいね」

「う~ん、最高!」

ぐーんと腕を伸ばして伸びをする。
フフっと笑ってこちらを見る明莉に不思議な思いで見つめ返した。

「なーに?」

「ううん、何でもない」

含み笑いのまま首を横に振る明莉ははぁ~と大きくため息をついて上を見上げて目を瞑った。
私も明莉にならって目を閉じる。


「はぁ、来て良かった…」


普段の生活から離れて揺ったりと過ごすのはやっぱり心と体を癒してくれる。

ゆっくり温泉を堪能して上がると浴衣に着替え今度は予約してあったエステへと向かう。
じっくりゆったり体とお肌をほぐされツルツルピカピカになって出てきたら今度は豪華なお部屋食が待っていた。

「うわ!美味しそう!」

「凄い!いたせりつくせりだね!」

「ちょっと奮発してこのお宿にして良かった!」

ずらりと並んだ豪華な食事。
幸せ気分で食事を堪能し、美味しい地酒で喉を潤す。

もうお腹いっぱい!と満足げにお腹を擦っていると目がとろんと酔ってるような明莉がまたフフっと笑って私を見つめる。

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