悔しいけど好き
翌日はまた何事も無かったように二人で楽しく温泉街を散策しこれから帰る実家へのお土産なんかを買って歩いた。
明莉も気を使ってくれてるのか終始明るくて楽しい旅行となった。

この温泉街は私と明莉の実家の中間地点。
実家までは約3時間で着く。

午後3時、私同様そのまま実家に帰省する明莉と駅で別れ一人電車に乗ると流れる山々を見ながらふと実家にこれから帰ると連絡入れようと久しぶりにスマホを見ることにした。



[逢いたい]



最初に飛び込んできた奴のメッセージにどくりと心臓が跳ね痛み出す。


[返事してくれてもよくない?]

[今ほんと何処?]

[俺差し置いてどんだけ楽しんでるの?]

[今どの辺?俺も行きたかったな~]

[楽しくやってるか?]



遡るメッセージは数時間置きに送られていて、何とも言えない感情が沸き起こる。

何て言うか…しつこい。

彼女とよろしくやってりゃ良いになにやってんだこいつはとつい突っ込みを入れたくなった。

胸の痛みは呆れで冷静さを取り戻す。
額を押さえ、ぐるぐると揉んだ後、まずは実家にもうすぐ帰ると連絡を入れる。

その間にまたスマホが振動してメッセージが届いたことを知らせた。


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