悔しいけど好き
手は振りほどくことが出来ず奴は押し迫ってきて後退りしていたら物置小屋の壁に行き当たってしまった。
揉み合いながらぼろぼろと涙が溢れる。

「もう!私に構わないで!」

「何でそうなるんだよ!」

「彼女に告白して付き合うことにしたんでしょ!何で私に構うの!?」

「だから!それは誤解だって言っただろ!」

「そんなわけない!私聞いたんだから!」

「だから違うって!」

「違わない!もう放っといてよ!」

はっきり聞こえた告白の言葉は今でも耳にこびりついてる。
なのに奴がなぜ否定するのかわかんない。

これ以上惨めにさせないでよ…。

「ほんとに!聞き分けないな!」

バンっ!と耳の横に手を突かれ、ビクッと肩を竦める。
その瞬間に奴の影が迫ってきた。

鼻をかじられる!

そう思って顔を背けたら両手で頭を固定された。
握りしめてた荷物をドサッと落とし解放された手も合わせて奴を引き剥がそうと試みるもビクともしない。

怒気を含む奴の目が差し迫りモウダメダと鼻の痛みを覚悟し目を瞑った。



「凪…」


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