悔しいけど好き

どれくらい経ったのか。

この行為になんの意味があるのだろう。
そう思っていたのに、性急なキスは段々と緩やかになり唇を吸われる度に怒りは失われて、いつの間にか私はしがみつくように奴のキスに応えていた。

奴がほんとに私を好きなら…そう思った瞬間に苦しかった胸は溶かされドキドキと高鳴っていく。

「凪…」


ゆっくりと離れた鷹臣はまた表情が違って、頬を緩め愛おしそうに目を細める。
押さえられてた頭はいつの間にか解放され、優しく撫でられていた。


「不安にさせてごめん。今まで手を出さなかったのは、嫌われてるのわかってたから、なし崩しにカラダの関係になりたくなかったんだ」

「え…」

荒い息の中、奴の言葉に目を丸くする。
私が気にしてたこと知っていたの?

「俺はお前の心が欲しかった。どうにかして俺に向いてくれないかと色々ちょっかいかけては裏目に出て落ち込んだりした」


今までの奴の行動を思い出して、好きな子に意地悪する小学生か?と突っ込みを入れたくなる。
ちょっと呆れた顔をすると奴は気まずそうに目線を外す。

「ただ、自信が無かったんだ。もっと早く言っていればこんな無駄な争いはしなくてすんだのに…」

いつも意地悪で自信満々な態度取ってたくせに何を言っているのだと、ぷんと頬を膨らませそっぽを向く。

大概、素直になれない私もお子さまだ。

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