婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
…私には、小さな頃の記憶は無く、物心ついた時には父の下で暮らしていた。
小さな頃の記憶は無いはずなのに、兄達と自分の母が違う事は何故かわかっていて、本当の母親は誰かは知らない。
二人の兄とは、腹違い。
【不貞の子】という事実は、周りの噂話でそれとなく聞かされていたが、だからといって、夜叉王領の王宮で不遇な扱いをされていたわけではなく、姫だからむしろ兄達より優しく大切に育てられてきたような気がする。
領民の人々も優しくしてくれて、王領内では幸せだった。
…王領内では。
だが、王領の外に出ると、【不貞の子】という事実を背負った私は、他の王族や貴族の好奇の目に晒された。
10歳の時、子供向けの剣技大会で初めて天帝様の住まう善見城へと登城したが、試合を観戦していた大人達が、私を見て【不貞の子】だとヒソヒソと話している声が嫌でも耳に入る。
一緒に試合に参加した子からも『おまえ不貞の子なんだろ?』『忌々しい子なんだってお母様が言ってたぞ』と言われて、傷付いたこともあった。