婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
慌てて頭を下げると、「…夜叉王の妹君」と、笑い掛けられる。
大人の女性の笑みにドキッとさせられたのは言うまでもない。
「姉さま、私は羅沙といますからもう心配しないで。さっさと天帝様のところにでもお行き下さい」
「…くれぐれも会場を出ることは許しませんよ」
「はいはい」
迦楼羅王様は、私の側にいる豪鬼にも頭を下げて、向こうへと行ってしまう。
その背中を見て「私が式典参加しないでどこか遊びに行っちゃうと思ってんだよ」と、「べー」と舌を出している。王であるお姉さまにその態度は…。
「でもまさかまさか羅沙が今日善見城に来てるとは思わなかったー!うれしー!」
「あ、うん…」
にっこりと満面の笑みを見せてくる沙那ちゃんだったが、私もかなり嬉しいのだけど、気持ち苦笑いをもしてしまう。
まさかまさかだよ、私も。登城命令がなきゃこんなところ来てないし。
でも、豹牙だけではなく、沙那ちゃんに会えたならそれも良しだ。
そして、沙那ちゃんと一緒に再び大広間へと向かうこととなったのだった。