婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
お父様とおかあさまが立て続けに亡くなった時も、励ましてくれて。
絶世の美男子と言われた華やかな容姿はさておき、本当に優しくて。
彼にとって、私はただの友人の妹。
でも私にとっては、淡い初恋だった。
そんな、ずっと憧れて慕っていた人と、結婚出来る。
だから、嬉しかった。
夢のような話だった。
…でも、いざ後宮入りすると。
それは手放しで喜べない状況どころか、私の喜びを嘲笑うかのように、どん底に突き落とす現実が待っていたのだった。
(………)
…あの時の衝撃が脳裏に甦ると、いたたまれなくなる。
成人になってすぐ縁談が舞い込んできて、まさかの八部衆の正妃で。
私は一生、王領から出ずに生きるのだと思っていたのだから、そんな正妃教育なんて受けていない。
別の一族の教育を受けるため、正式婚姻を迎える前に、私は竜族の王宮、水晶竜宮へと招かれることとなる。
…だが、そこで待ち受けていたのは。
すでに後宮入りをしていた、二人の側室だった。
え?…側室?
いたの…?
奥さん計三人?!そんな話聞いていない…!