婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
しかし、これで助かったと思っちゃいけない。
「羅沙、目通りの時間だ」
「は、はい…」
ひょっとしてこれはとうとう、来た。
天帝様による断罪…いえいえ、御目通りの時間が。
しかし、お兄様がさりげに口にした言葉を二人は聞き逃してはいなかった。
「目通り?…え?どういうこと?」
「ちょっ、ちょちょ!まさか羅沙、天帝様に?!何で!あんた何したの!」
「し、知らない…」
騒ぐ二人には構わず、お兄様は背を向けて歩き出してしまったため、私も慌てて後を追う。
でも、何も言わず去るのはどうかと、少しだけ振り返ってそっと一声かけた。
「しゃ、沙那ちゃん、蓮華様、また…」
「またっつーか!後で戻って来い!説明しろい!羅沙ぁぁ!」
「そ、そうよ!私の話は終わってないんだからね!」
「………」
も、戻れない。剣幕怖い。後が怖いような気がする。
一声掛けなきゃよかった…!
前に進んでも、後ろに戻っても地獄。なんてことだ。