婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
緊張のドキドキなのか、高揚のドキドキなのか、心臓が脈打って破裂しそう。
そりゃ挨拶も吃る。
「て、て、天帝様っ、本日はお招きありがとうございますっ、お、お、お誕生日おめで…」
「堅苦しい挨拶はいいから、こっちおいで?」
「は、はぁ…」
吃って見苦しい挨拶は笑顔で止められ、手招きされる。
「こっちこっち」と招かれた場所は、このだだっ広い広間の隅にある…東屋?
四方に軒を下ろした柱だけの壁のない小屋が、この玉座の間の隅にあるのだ。正面からは見えない死角に。…え?何で?庭園でもなく室内に東屋?
中には畳が六枚ほど敷いてあり、座布団や背枕がたくさん置いてある。
「ここ僕のお気に入りでね?寛げるんだよ。夜叉王が作ってくれたんだ。ね?昼寝も出来るんだ」
「作ったのは職人で俺は提案しただけだ」
「さあ、羅沙もおいでよ」
お兄様が?天下の天帝様に昼寝空間?こんなものを提案するなんて!…どんな経緯かは知りませんが。
…しかし、戸惑ってしまう。