婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「…お一人でお出掛けになってましたの?」
朱嘉様は、ウフッと余裕ある笑みを見せてくる。
やたらと不自然で、明らかに作っている笑顔だと察するが。
「うふふ。ひょっとしてまた騎士の訓練場ですか?もしくは厨房?」
「え、ええ…」
「羅沙様は姫なのに、女性のたしなみではなく、剣を黙々と振ることがお好きなようですから?私には出来ない!凄く尊敬しておりますのよ?…まあ、私達の竜王様の正妃になられる方ですから、逞しくなくてはいけませんものね?お茶会より剣の鍛練なんですものね?」
「い、いえそんな…」
「自然に恵まれたど田舎の王領では、王妃教育より剣豪教育なのですか?お兄様は天界一の剣豪ですしね?」
グサリと嫌味を言われた。随分あからさまでわざとらしい。
何が尊敬だ。何が『私には出来ない!』だ。やるつもりもないくせに。
後ろに控えている侍女たちがクスクスと失笑していて、もうバカにされている。
おとなしい黎奈様とは違って、朱嘉様はあからさまに敵意を見せてくる。
こんな私が正妃に選ばれたことが、本当に嫌なのだろう。
【不貞の子】という悪評を背負った上、女性としてもまだまだ若くて未熟な私を。