婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
見慣れた景色であっても、上から見下ろしたことなんてないから、すごく新鮮だ。
緑と茶の彩りがこんなにも美しいなんて。これが紅葉の時季になったら、どれだけ美しくなるんだろう。
綺麗…。
私の育った大好きな王領が、素敵な場所だということを再認識出来て嬉しくなった。
自然と笑みが溢れていた。
…だが。
「目的地にとうちゃーく!」
「…え?…ここって!」
術陣がフワフワと着陸し、ようやく地に足を下ろす。
だが、その見慣れた景色でここが何処か、私には一発で丸わかり。
整備された山道には、所々に階段。聳え立つ木々。
自然満載ではあるが…決して人が通らない場所ではない。
ここは、私も単身でよく足を運ぶ場所。
「こ、ここ、ニ星岱!…うちの裏山でしょ!」
「へー。にせいだいっていうの。へー」
何で、うちの裏山に…!
何が起こったかわからず、辺りを見回して挙動不審になる。
続いて術陣から降りた豹牙は「おー。グレイトグリーン!」と、天を仰いで背の高い木々を見回していた。
ぽめは「わんわんっ!」と吠えながら山道をたーっと走っていく。