婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

「…あ、ぽめ!そっちは!」

後を追いかけようとすると、後ろから豹牙が「まあまあ」と宥めてくる。



「ダイジョブダイジョブ。ぽめは目的地をわかっておられる。…そっちそっち」

「え…」


豹牙の指差す方向は、ぽめの走っていった方向。

山頂へと繋がる山道だった。



「…ほんと、こっちなの?」

「おーおー。レッツラゴー!」

「………」

だって、こっちは…。

と、思いながらも、豹牙の言う通りにぽめの後を追って歩く。

「何で歩くの?目的地まで術陣に乗れば…」

「グリーンを楽しみながら歩くのもキャンプの醍醐味だぜ?空気うまー。マイナスイオンを食い散らかせ」

「………」

やっぱり、所々言ってる意味がわかんない。



しかし。そこで私はハッと我に返る。



そうだ。私、あの場から逃げたくて、豹牙に攫われてきたけど。

そうだ。この男、きゃんぷ…野営しに行くって…!



(ああぁぁっ!)



しまった…しまった!

身体的にも精神的にも散々味わった苦痛に、敢えて自ら飛び込むなんて!

…本日は私の命日かもしれない。

場所といい…。
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