婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
後先考えずに行動に踏み切ったことを後悔する。後悔先に立たず。
けど…善見城に残ってても、地獄。どっちが良かったのか。
しばらく歩き進めると、ぽめが「わんわんっ!」と吠えながら自分の尾を追うようにぐるぐると独特に回っている。
そこは、もう突き当たり。この山道の終点。
「ぽめ、寄り道か?…ん?何だ。神殿?」
豹牙が顔を突き出して、ぽめの傍にある神殿を見上げる。
規模は小さいが、白い神殿造の建物。
ここを目的地としていたけど、この建物の存在はわからなかったのだろうか。
「…ここは、墳墓なの。…代々の夜叉王とその妃の」
「墓!」
先祖代々続く墳墓。夜叉王族のお墓だ。
ここには、ご先祖さまだけではなく…先代の夜叉王とその王妃、私のお父様とおかあさまも埋葬されて眠っている。
命日や節目の日には、必ずお兄様らと手を合わせに来る。
私は単身でも来ている。お父様とおかあさまに会いたい時には。
…しかし、何故豹牙にここに連れられて来てしまったのか。
「へぇー。羅沙の父上母上じさまばさまの墓か」