婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「うん」
「で、夜叉王も死んだらここ」
「そう」
すると、豹牙は何故か「ヒャッハー!」と叫ぶ。何でそんなに興奮してるんだろ。墓だよ?墓に興奮?
「じゃあ、取り敢えずお参りしましょ」
「…うん」
そして、二人揃って静々と墓前に手を合わせる。
…これ、何の図?急にお墓参りなんて。
「じゃあ、行きますか」
「え?ここが終点…」
「ノンノン。まだ先がありまっせ?」
にひひ、とまた笑う豹牙は、なんと神殿の裏側へと回り、道のない所へと草を掻き分けて歩き出す。
え?え?そっち、何あるの?ただの草むらじゃ…?
地元の私でも知らない場所を、ずんずんと進んでいく豹牙の後を、疑問を持ちながら着いていく。
だが、少し歩いた後、草むらだらけの視界は開ける。
「え…?」
その向こうは、岩肌の崖っぷちで。
目の前には…澄んだ青空に、一面に拡がる、緑と土色の自然色で彩られた大地がどこまでも果てしなく続く、景色。
このニ星岱の山頂から夜叉王領全体を見渡せる。と、言っても過言ではない。
(すごい…)
こんなに見晴らしの良い場所があったなんて…!