婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
ドキドキと胸が高鳴る。まだ見ぬ、未知の世界への期待が膨れ上がる。
そして、豹牙はファスナーのついた袋からそのてんと、とやらを取り出した。
「………」
しかし、そこも未知の世界で。
「こ、これ!な、何っ?!」
「テント一式。骨組みのポールつき」
「え?天幕でしょ?!…帆布じゃないよ?」
「これは化学繊維なのであーる。これも人間が発明した独特の布地だ。天界は神力頼みで布地を強化してるからな。…これを天界で造る技術があればいいんだけどなぁー。神力無しで。なら、平民の人々にも手に入りやすくなるんだけど」
「かがくせんい?」
何だ何だなんだ。知らないものがいっぱい飛び出してくる。
それはまるで、天から授かった贈り物のように。
ドキドキワクワクは更に、私の胸の中に込み上げてくる。
そして、私達はテントという天幕を建てることになる。
豹牙の指示でポールという金属の支柱を、かがくせんいの布地に差し込んでいくのだ。
差し込むところも決まっていて。
「…おぉい、羅沙!そこじゃねえぞ!…おい!黄色と黄色でくっつけるんだ!」
うわうわうわ。何が何だかわからない。複雑。