婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「それは、ヒーローってんだ」
「ひーろー?」
「英雄とか、超活躍した戦士、とか?…でもまあ、俺たちガーディアンはヒーローじゃない。力を貸して『神童』をヒーローにはするけどな?」
「ううん、でも人間界を護ることに繋がってるんだもん。十分そのひーろー?だよ」
「わはは」
持ち上げた私の言葉を、豹牙は笑い飛ばす。
その横顔が眩しく思えた。
(ヒーロー、か…)
素敵だな。そんな存在。
…もし、私に力があれば。
ヒーローに、ガーディアンになれるほどの強さがあれば。
【不貞の子】だとか、神力が使えないとか。
そんな劣等感も吹き飛ばすことが出来たのだろうか。
竜王領でも…もっと違った過ごし方が出来たのだろうか。
(…ううん)
心の中で、首を横に振る。
出来る出来ないとかじゃなく、私のような忌まわしい存在になんて、どうせ無理。
そんな姿、微塵も想像出来ない。
ヒーローだなんて。
…でも、そんな理由で簡単に済ませてしまうことに、納得いかない自分もいたのだった。