婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

涙も拭かぬまま顔を上げると、目の前には焚き火の炎が視界に入ってきた。

ボロボロと次々に涙が頬を伝うが、半ば放心状態でその炎を見入ってしまう。

炎に魅せられたせいか、今までの私の行いが頭を過ぎる。



《想う人には、私だけを見て欲しい。それはいけないことなの?…私にはそんなの耐えられない!》

《だからやめるの!全部無しにするの!未熟だと言われても、それは譲れない!》

《説明なんて聞きたくありません!》

《羅沙、幸せになろう》




メラメラと滾る炎には。

今までの私のバカな言動から、竜王様との思い出が映し出されたような気がして。

もっと、もっと泣けてきた。

爆発的に。



「うぅっ…ううぅぅ…うわぁぁぁんっ!」

「わー」

「うわぁぁんっ…わあぁぁぁっ!ああぁぁぁ…」

「すげえ泣いちゃった」



大声をあげて喚くように泣き声をあげても、豹牙は狼狽えることすらせず「たはは☆」と楽しそうに笑っている。

私、一応真剣に泣いてんのに…!



「ばかあぁぁ!…豹牙のばかあぁぁっ!うわああぁぁんっ!」

「え、俺?」

「何でっ…早く教えて…くれなかったのぉぉ!うわああぁ…」

「ありゃ」
< 205 / 440 >

この作品をシェア

pagetop