婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
私には、努力が全然足りてなかったのだ。
忍耐も。心構えも。
「わあぁぁぁんっ…うああぁぁぁ」
「ほいほい。悲しいな?」
「うわあぁぁ…ああぁぁっ…ひっ…竜王様ぁぁ」
「だから。男の名前呼ぶなっつーの。二回目」
「だ、だってぇぇぇ…ううぅぅ…」
だって、本当に好きだった。
私の初恋。
でも、もう終わり。
こんなワガママ勘違い娘な私なんかじゃ、到底届かない。
「ううぅぅ…うわああぁぁー!」
炎の灯と、熱に照らされて。
「青春やなー」と呑気に缶ビールを飲む、友人の横で。
ずっと、ずっと。
私はしばらく泣いた。
情けない思いを、汚い泣き声に代えて。
「…うぉっ。羅沙ちゃん、缶四本開けたの?こりゃあ酔っ払っちまったな?」
「うわああぁぁぁ…ううぅぅっ…わああぁぁぁ」
そうして。
揺らめく炎の火の粉が弾ける音と、私の汚い泣き声が響く夜は更けていった。