婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
でも、そう決めてしまった。
後は、行動に移すしかない。
勢い余ってはいるが、一度決めてしまったら黙っていられないのだ。
まさしく、猪突猛進。
私の足は、居室のある後宮ではなく、実は別の方向へと向かっている。
大きな渡り廊下へと出るが、人が歩いていないわけではない。
たまに人とすれ違っては、二度見られる。
なぜ、王の婚約者が侍女もつけずに一人で後宮ではないところを歩いているのかと。
「羅沙様、どちらへ行かれるのですか?」
背後からの気配と声に、ギクッとして体が震える。
恐る恐る振り返ると、そこには気難しそうな表情をした男性が立っていた。
その顔を見て、一気に冷や汗が吹き出る。
白龍様だ。
竜王様の側近と言われる『五方五龍』の一人である、白龍様。
特に頭脳明晰で、冷静な判断力のある白龍様は、竜王様の側近としてこの水晶竜宮の家令を務めており、竜王様が不在の時は、その責を預かる存在。
朱嘉様の次に…私の苦手な人。