婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そんな話をする豹牙の顔はイキイキとしている。
余程神威さんと一緒にいるのが楽しいのだろう。
あぁ、人の話を聞いてるだけでワクワクする。
私も早く神術覚えてガーディアンになりたい!
そう思いながら、月明かりに光る水面に目をやる。
風でそよそよと、水面が静かに波打っているのを見ると、何故か現実に引き戻されて。
ふと我に返る。
…そういや。
豹牙と善見城を飛び出してから、夜を二度も迎えてしまった。
《俺、何も話していないよ!羅沙にはちゃんと話を聞いて欲しいんだ!》
《羅沙!戻ってきてくれ!》
竜王様…。
あんなに私に話がしたいと歩み寄ってくれたのに。
なのに私は…一方的に耳を塞いで、逃げてきてしまった。
私の態度はきっと許されるものではない。
竜王様、今頃何してるのかな。
きっと、怒ってるよね…。
ちゃんと謝って、話を聞くべきだった。
それが私にとって、辛い痛いことでも。
堪えてでも話を聞くべきだった。
なのに、私は逃げて…。
時間が立って冷静になった今、ほんの少しばかり後悔していた。