婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
髪をわしゃわしゃと拭きながら、こっちを振り返る豹牙は、悪いいたずらっ子のような笑みを浮かべている。
まんまと騙されて公然ワイセツ被害に合ってしまった私はムッとしていた。
「そ、そんなもの、わざわざ見せつけないでよ!ビックリした!」
「いひひひ。まんざらでもないくせに?」
「満更じゃない?!…それ、痴漢の発想でしょ!もうやめてよね!」
「何なら、毎晩見る?俺の」
「はっ!み、見な…」
「羅沙、俺と結婚するか」
「はっ…」
…今のは聞き違いだろうか。
豹牙も言う相手を間違えてるんじゃないだろうか。
この人、私になんて言った…?
《羅沙、俺と結婚するか》
豹牙と私が結婚…。
「俺、おまえに気を遣わなくていいしさ。一緒にいると楽だし。楽しいし。…化粧ケバくて下心見え見えの令嬢たち、正直めんどくせーんだわ」
「へ…」
「竜王と違って、俺は一族背負ってねえからな?公務なんてあってないようなもんだし、俺と結婚したところで王妃のしがらみも何もねえぞ?…ほっつき歩き放題、旅し放題」