婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「ケンカは、だめー!!」
子どもか。
もっとマシな言葉は無かったのでしょうか…と、自己嫌悪する中、争う二人が攻防をピタッとやめて私の方を見た。
「羅沙…」
「おいおい。このシチュでは『お願い!私のためにケンカはやめてぇ!』と、こうお祈りポーズで涙を流して訴えるんだぞぃ?…こう!」
「………」
豹牙は私に何をやらせたいの。
そんなフザけてくねくねしている豹牙を「どけ!」と突き飛ばして、私の前にやってきたのは、竜王様だった。
「羅沙…」
鬼神の如く怒り狂っていたのに、そんな表情はとうに消え失せている。
爽やかで優しい眼差し、私の前にいるのは、いつもの穏やかで優しい竜王様だとわかるとホッとする。
しかし、安心したのは束の間で。
竜王様は、何故ここにいるんだろう。
こんな地でまさかの通りすがり?…な、わけない。
「あ、あの、竜王様…何故ここに?」
一応質問は投げかけてみるが、まさかの思い当たる点はいくつもある。
「何故って…羅沙を迎えに来たんだ」