婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
私の婚約者である竜王様は、目が見開いたそのまま、しばらく固まっている。
「…え?」
あまりにも唐突すぎたのか、私の言ったことをよく理解出来ないといったところだ。
でもそれは、もちろん承知の上、もう一度はっきり伝える。
「ですので、この婚約…なかったことにして欲しいのです!」
「え?誰の?」
「私達のです。私と竜王様の」
「……」
竜王様は、また無言で氷のように固まってしまった。
だが、ここでようやく何を言われているのかを理解したのか、その目はますます見開いてしまって、顔が強張ってきている…!
間もなく大軍の出立という、大事なこの時間に何を?ここで俺に何を求めてんの?!と、言いたそうな困った顔をしている。
無理もない。
---本日は、この竜王様が、同じく八部衆の阿修羅王との会談や騎士団視察?の為、遠征を率いて東の地、阿修羅王領へとこれから間もなく出立されるのだ。
いつもの公務のように、竜王様が護衛を抱えて、天帝様のいる善見城へ登城するのとはちょっと違って、今回は竜族神術騎士団総出で、阿修羅王領にお邪魔することなっているらしい。
交流目的なのか、何なのかよくわからないけど。