婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「やだ。まさか…『魔の森』でキャンプしようと思ってたの?」
「いい場所だったらなー。でも無理そうだ。磁場が特定出来ねえから歩いて出るしかないな」
「………」
こんないつ魔族が出るかわからない場所でキャンプしようと思ってたなんて、墓の裏といい、豹牙はとんでもない根性の持ち主だ。
でも、今回ばかりはわかってくれて良かった。
そして、豹牙は辺り一面を見渡す。
「出口、どこ?」
豹牙がそう言いたくなるのもわかる。
私達が立っているこの場所は、見渡す限り360度緑生い茂る樹々が連なるという同じ風景。ほぼ同じ樹々だらけなので、これといった特徴もない。
ゆえに、どこに進んでいったらいいか、全くわからない。素人が闇雲に進んでしまっては、必ず迷う。
これが、『魔の森』は避けて通るべき理由のひとつ。
三年前の魔族討伐遠征では、至る所に目印を立てておいたものだ。
「通ろうと思っていた経路は、森の東側なんだよね…」
「おおっ。じゃあ東に向かって歩けばいいんじゃね?太陽が出てる方向にさ。今は早朝だし」
「………」