婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

随分と単純なもので…。

とは思いながらも、こんな磁場では方位磁針も使い物にならない。

結局、豹牙の言う通りに日の差す方向に歩いて行くしかなかった。

樹々の隙間から僅かに差し込む日差しと、影の方向。

そして…記憶を頼りに。



「…確か、こっち」



二方向の分かれ道に差し当たる。

樹々の幹の形、生えている本数、大きさ…それらを見ていると、記憶が蘇る。

確かこの道は…三本揃って同じ大きさの木が並んでいた。

三年前より僅かに大きくなっているけど。

だから、こっちが森の外に出る道だ。



「へー。おまえ、ここ来たことあんの?」

「うん。三年前、ここに魔族討伐で遠征に」

「夜叉族の魔族討伐…あー。ひょっとして、任務達成したけど…ってやつか?」

「………」



豹牙の言いたいことはわかる。

三年前、『紫の門』を封印消滅し、魔族を一網打尽に出来たが。

不意に本陣を攻められて、当時の夜叉王…お父様が負傷し、その傷が元で亡くなったという話。



「…悲しいことを思い出させてすまん」
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