婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
目の前にはすでに、コウモリの羽根をまとった爬虫類の巨大化したような見た目の怪物…魔族が、私に向けて鋭い爪が光る前足を振り上げていた。
「ギャアアアア!」と、耳障りな雄叫びもあげている。
「退がって!…大丈夫!」
後方にいる豹牙とぽめに後退を命じて、振り落ちてきた前足を後方に飛んで回避する。
背後から不意打ちをしてきたその姿を視界に入れて確認すると、抜いた剣を構えて柄を握る指に力を込めた。
私の倍以上の丈がある。
相手は人型ではないので、知能はほぼ無いに等しいはず。人の匂いを辿って、ただ襲ってくるだけの輩。
…ならば、急所を狙って早急に仕留める。
両方の前足を交互にただ振り落としてくるだけの攻撃を飛んで回避しながら、その機会を待つ。
…魔族には心臓はない。
急所は『核(コア)』と言われる宝石のような石。
その形や色は種族によって様々。
核を携えている位置も、様々。
その核を分断してしまえば、魔族は機能を失い、消滅する。
…その核の位置を、相手の攻撃防御の癖からしっかりと見極める。