婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

ただ本能のままに踏み付けるだけの攻撃は続き、魔族が頭を低くした。

そこを見逃さず、頭に向かって一太刀振り翳す。

回避されたものの、どうもその動作が大袈裟だ。まるで庇うような。

恐らく、核の位置は…頭。



そうとなれば、話は早い。

足が振り落ちる瞬間を狙って、その大きい前足に飛び乗る。

頭のてっぺん部分を捉えられる高さまで移動し、柄を今一度強く握りしめ、定めた狙いの箇所へと力を込めて刃を振り落とした。



「ギャアアアア!」



切り裂く感触に、手応えあり。核を分断出来た。

私に脳天を真っ二つに切り裂かれた魔族は、耳障りな悲鳴をあげてはバタバタともがいている。

大きなおぞましいその姿は、やがて透けて消えていく。

最後に、分断された青く輝く石…核がさらさらと砂状になって消えた。



「おー。神力無しで、手早く一刀両断。素晴らしい馬鹿力」



後ろで私の戦を鑑賞していた豹牙は、パチパチと手を叩く。



「…この程度の魔族、倒せないと討伐遠征に参加出来ないよ」



豹牙の簡素な賞賛に苦笑いしながら、剣を鞘に収める。
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