婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

(…はっ!)



一段と濃い障気が、肌に触れる。

樹々をメキメキと薙ぎ倒して、まるで地鳴りのような轟音をあげ、地が軽く揺れていた。

間違いない…大物!

近付いてくる音の正体を目を凝らして探していると、足元の土がボコボコッと盛り上がってくる。

…下から!

途中から地に潜り込んで…!



地面が盛り上がって爆発すると共に、後方に飛んでその全体像を確認する。

土の中から勢いよく飛び出したのは…モグラ。見上げるほど大きいモグラだった。

「グアァァァ!」

低く野太い鳴き声も、また地面を揺らす。

土まみれでドロドロのモグラは、息が荒く、牙をカチカチ言わせてこっちを見ていた。



…だが、魔族は一匹ではない。



「…神族か?」



その姿を確認して、緊張が走る。

モグラの後方には…いる。

私達とほぼ同じ姿の、魔族。…人型だ!



その人型の魔族は、私達の姿を捉えた。

長い黒髪を靡かせる女性の姿の魔族は、赤い紅を塗った化け物のような大きな口でニヤリと牙を見せて笑う。



「…おやおや、まだ子供じゃないかい」
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