婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
ーーー生家で、姉の黒闇天女に瀕死の重傷を負わせてしまった羅沙は、鬼子母神の長女の計らいで、天界にいる実父の夜叉王に引き取られる。
しかし、この瞬間を誰よりも待ち望んでいたのは、王妃の白楼様だった。
娘の今までの名を敢えて聞かず、新しく『羅沙』という名前を付けてしまう。
歴代の夜叉王の中で唯一、女の王がいた。その女王と同じ名を付けてしまったのだ。
白楼様の溺愛ぶりは、そりゃ半端じゃない。
自分の血を引いていないにも関わらず、片時も傍から離さず愛情を注いだ。
愛する夫と息子らにそっくりな娘だ。無条件に自分の子と思えたのだろうか。
羅沙は、生家で受けた暴力のせいか、最初の頃は表情はなく、心を閉し、目に映るもの全てに怯えていた様子だったという。
誰とも目を合わさず、出された食事にも一切手を付けず、もちろん声を発さない。
だが、白楼様はめげずに羅沙に献身的に愛を注いだ。
そんな羅沙が、心を開くきっかけとなったのは…柚子だ。