婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
…だけど、あの時は誰が思っただろうか。
その数年後。
まさか、俺と羅沙の縁談が進み。
まさか羅沙に、嫁に逃げられるという展開になろうとは…!
最近の出来事を振り返ると、海溝よりも深いため息が出る。
複雑な事情があちこち、不運にも絡みに絡み合って、こんな事になるなんて。
だが、一番何が駄目だったのかは、わかる。
それもこれも、自分。
嫉妬と独占欲に狂い、自分が冷静になれなかったことが、一番の非だ。
自分の落ち度にため息を再び…といったところで、樹々の向こうから足音と、変な歌が聞こえてきた。
「あるある探検隊♪あるある探検隊♪」
「わんわん!」
帰ってきたな。無責任クソ男と、その畜生。
陽気に歌いながら帰ってきやがって。人の気も知らずに…!
「たっだいまー♪…羅沙はまだ起きないのかえ?」
「うるさいぞ。静かにしろ。体は相当堪えてるはずだ」
「ほぉー。…そう思いましてね?ぽめが薬草をそこら辺で見つけてきましたー!じゃじゃん!」
「わんわん!」
草が一束、ワンコロの背中に括り付けてある。