婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

『初めて恋した人と結婚出来るなんて、この縁談は夢じゃないかと思いました』

『…だって、貴方のことをこんなに好きになってしまった』



それを耳にした時は、まさかと疑った。

だって、羅沙はまだ子供で、羅沙にとって俺は、兄の友達で…。

だから、少しずつ距離を縮めながら、愛を育んでいけばいい。



…って、それは、俺の勝手な判断、偏見だったということに気付く。

羅沙は人形じゃない。ちゃんと生きた心を持っている、ましてや成人を迎えた女性だ。



でも、まさか。羅沙にそんな風に想われていたなんて。

そんなことに微塵も気付かなかった俺は、余程鈍いし、相当大馬鹿者の愚か者だ。

なのに、俺は羅沙の想いに気付かず独占欲全開で、政略結婚で羅沙を縛り付けて、辛い思いをさせて。

自分で自分を殴ってやりたい気分だ。



…その時、俺はこの一件の最大の過ちにも、気付いたのだった。



あぁ、そう言えば俺。

自分の想いを、羅沙に伝えたことがなかったかもしれない。



君に『好き』だって、まだ伝えてなかった。



…本当に救いようのないバカだ、俺は。

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