婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そこからまた、改めて気張って馬を走らせること数日。
相変わらず意識があっちの世界に行ったり、変なものが見えたりしたが。
とうとう。
実家である夜叉王の王宮、金剛鬼宮に辿り着いた。
着いた…ようやく、帰ってきた。
(ああぁぁ…)
懐かしい王宮を目に入れると、何故か感動に打ち震えてしまう。何故か感無量。
しかし、今の私は精魂付き果てていて、門の外からボーッと見上げたまま、固まってしまっている状態。
馬上では既に座位を保つことが出来ず、馬の首に手を回し馬にしがみついたまま。股も腰も痛い。
あぁ、目の前がグラグラチカチカする。お腹おかしい。空腹云々の問題じゃない。
あぁ、お土産買うの忘れた…あ、お金持ってないから無理だった。
「…え?」
馬にしがみついたボロボロの女が王宮を見上げたままでいるのを見て不審に思ったのか、門番が近付いてきた。
しかし、私の顔を見てガラッと顔色を変えて慌て出す。
…まさか、輿入れしたはずの姫が、こんなボロボロになって馬にしがみついて帰還するとは誰も思わない。
「ら、羅沙様っ?!」