婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
目の前はまだ真っ暗闇だけど、凪の怒った声が聞こえる…。
『……未来の王妃が王宮からいなくなって何日も放置ですか?!我々の大切な姫を何だと思ってるんですか!場合によっては戦争しますよ!』
『まあまあ、話を聞いてみないとわからないだろ。戦争はやめろ』
お兄様の声も聞こえる。
あぁ、懐かしくてありがたい。
「…おにーさま…」
思わず、その名を口にしてしまう。
って、私。帰ってきたんだっけ。
ぱちっと目が開いて、視界が開ける。
光が眩しく、真っ先に目に入ったのは天井だった。
寝かされている場所はフカフカだ。温かいお布団の中。ゴツゴツの冷たい土の上じゃない…!
気持ちいい。あぁ、なんてありがたいんだろう。当たり前に得ていたことが、こんなにもありがたいなんて。
「羅沙様!お目覚めですか!…お目覚めにならないうちでしたが、あまりにも強烈な臭さだったので強制的に湯浴みさせて頂きました!」
真っ先ににゅっと視界に飛び込んできたのは、凪の顔だった。
わっ。
あまりの勢いに、肩をすくめてしまう。
いや、強制的な湯浴みは仕方ない。でもそんなに臭い連発…私、女性ですからね。一応。