婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「ちょっとちょっと王。何をツボに入ってるんですか。羅沙様は死にそうな思いをしたと言ってるのに」
「…だって、あまりにもあほ過ぎるだろう。なぜそんな自ら過酷な野営生活を…腰に携えた剣を売れば金になるのに気付かずとは…しかも毒草食って軽く被毒してたとは…あほ過ぎる…」
「王、言い過ぎですよ」
え?被毒?え?剣って売ったらお金になるの?
静かに笑うのをやめないお兄様を見て、凪は深くため息をついたのち、私に説明をした。
「…羅沙様、水晶竜宮で何があったか?の前に。帰還なさるなら、文のひとつでもお遣しください。そうすれば馬車を出してお迎えに上がりましたけど?」
「え?そうなの?」
「はっ…貴女はこの王領の姫ですよ!というか、何故それをご存知ない!」
「いや、私をそんな迎えに来てくれるなんて…だって、裏の山に行った時だって『自分で帰って来い』っていつもお兄様が…」
「それは治安の良い我が王領内での話です!それに裏山と竜王領、距離が違いすぎませんか!」
「へ…」
「それになぜ須弥山に寄らなかったのですか?」
「へ?だ、だって竜王領から見たら須弥山は夜叉王領とは逆方向で…」
「須弥山内は、転移術式を使って自在に移動出来ることはご存知ですか」
「あ、でも私神力使えないよ」