婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

「…羅沙様のように神力は使えなくても、須弥山内は常駐された術師によって転移術式を使って貰えるんですよ。移動の時間短縮が出来るので、他王領への移動は大体が須弥山を通過する…前に御教えしたでしょう!」

「あ…」

忘れてた。確かに、そんなことをかなり前に言ってたかも。

忘れてた…!



私の反応に、凪はがっくりと項垂れているようだ。

いやいや、私だってそんな仕組みわかってなかったよ。わざわざ迎えに来てくれるなんて。須弥山の転移術式のことはすっかり忘れてたけど。

お兄様は、まだ背中を見せて静かに肩を震わせている。まだ笑ってるよこの人…。なんで笑ってるの。何がおかしいの。



「…あほだ。どあほ過ぎるだろう。転移術式を使わず、わざわざ馬を走らせて帰還するとは…例え俺でもそんなことは絶対しない…」

「………」



この人に、心配という感情はないのでしょうか。

可愛い妹をあほあほと笑って…こっちは本当に死にそうな思いをしたっていうのに。



しかし、そんな死にそうな思いをしたのは、私のあほさ加減のせいだけではない。
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