婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「…凪。ちょっと席を外してもらっていい?」
「え?」
「ちょっと、お兄様に話したいことがあるから」
「…ああ、そういうことですか。わかりました」
退席を促された凪は不服そうな顔を見せるも、私がこれから何を話すのかを察したらしく、あっさりと席を立つ。
お兄様に頭を下げ、あっさりと部屋を出て行った。
…でも、心配性の凪のことだから、恐らく扉の向こうで盗み聞きして、耳を欹てていることだろう。
「話したいこととは何だ」
部屋にお兄様と二人きり。
お兄様は笑うのをいつの間にかやめていて、いつもの表情のない無愛想な顔に戻っている。…素材は悪くなく、むしろ美形なんだから、いつもニコニコしていれば令嬢たちも近づきやすいのにな、なんていつも思う。
そして、そんなお兄様は、さっきまで凪が座っていた、寝台の側にある椅子に腰掛けた。
「何故、水晶竜宮を出た?」
お兄様のその意志の強い瞳で見られると、妹なれども多少怯んでしまう。なんて圧の強い眼力だ。
そんな圧に負けたわけじゃないけど、まずは深々と頭を下げる。
「お兄様、大変申し訳ありません…」