婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「ん?」
「竜王様との縁談、解消したく逃げて参りました。天界一の武人の妹でありながらこの愚行、お兄様の顔に泥を塗る所業、大変申し訳ありません…」
「………」
お兄様も固まっている。
無表情そのまま。
「逃げてきたって、ツラッとこいて開き直って…何故だ?何故逃げる必要がある」
「そ、それは…」
何故、逃げる必要があるのか。私も冷静に考えたらそう思う。
でもあの時は、あんな辛いことだらけの世界、一刻も早く逃げ出したかった。
我慢ならなかったのだ。
その我慢ならなかった理由を、事細かに全てお兄様に打ち明ける。
輿入れしたそこには、既に二人の側妃が待っていたこと。奥さん計三人ですよ?!
実は全然歓迎されてなくて、家令や側室の方、侍女に嫌味を言われまくりで…【不貞の子】と後ろ指を差されるし、何てったって、夜叉王領や一族のことをバカにされるのは許せなかったということ。
与えられた教育はこなしているのに、剣の稽古もだめ、大好きな料理をするのに厨房に入るのもだめで、お茶会に参加しなくてはならない。