婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

誰も一切、この王宮に姿を現さなければ、使いのひとつも寄越さない。

もちろん、竜王様すら来ない。



無断で竜宮を出た未来の王妃を、誰も探しに来ないのだ。



これは……本当に、私が邪魔だったんでしょうか。



竜王様含む竜族の人達にとって、私は探すにも値しない、本当に無用な存在だった。

と、いう結果なんだろう。



『戻れ』と言われたらそれはそれで嫌だけど、誰も何の音沙汰もなく無視ってのも結構きつい。

でも、煩わしさがないだけまだ良いと思うしかない。

輿入れ前の平穏な日々の続きが始まっただけだった。



…輿入れしたはずの私が、何故馬に乗ってボロボロになって帰ってきたのか。

それを私に直接問う者も、一人もいなかった。

みんな何も無かったかのように、私に接してくる。私がただ里帰りしただけと思っているんだろうか。




「羅沙、遅い。行くぞ」



王宮を出ると、そこには既にお兄様が馬に乗って私を待っていた。

その周りには、凪や護衛の騎士が数人が集まっている。



「す、すみません。すぐ出ます」
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