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ここ、夜叉王領は、須弥山から北に位置する広大な面積の領土を管轄している。その面積は恐らく他王領と比べてもダントツで一番。
そして、山やら森林地帯などの豊富な自然が領土の半分を占めている。他の地域とは違い、四季もはっきりしており、いろいろな作物が育ちやすい。
夜叉族は代々剣の腕に優れた一族で、かつては戦闘民族と言われていた。名の知れた剣豪が集まる優秀な騎士団を今も抱えている。
しかし、軍事組織だけでは飯が食えない。
と、言い出したのは、亡くなった私のお父様。
この広大な敷地を魔族討伐の戦場にするのではなく、もっと有効に使いたい。
そう言い出して始めたのは…農業。
人の生活と心を豊かにするのは、食だ。
そんな文句を唱えながら、王領の気候に適した稲作、畑作に試行錯誤を重ねていたのが、お父様の若い時。
そして、親も親なら子も子だ。
現在の夜叉王、お兄様も小さな頃から農業にはとことんハマっていた。どこからか情報と苗までも入手して、自分の気に入った作物はありとあらゆる試して植える。幼きながら、お父様に進言する姿はたまげたものだと感心されていたらしい。