婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そんな凪は私達の前に躍り出る。手には一枚の紙切れが。…文?
「凪はいつも祭り状態だろ。…で、何だ」
「私を祭り状態にする原因はどこにあるか、その胸でお考えください!…ではなく、登城命令です!善見城への!」
「………」
お兄様が、無表情なりにとても嫌そうな顔をしている。
顔に「めんどくせー」と書いてあるよう…。
この『登城命令』というのは。
善見城の主、この天界を統治する天帝様からの謂わゆるお呼び出しである。
登城命令を受けた者は、指定された日に善見城へ行き、天帝様に御目通りしなければならない。
まあ…お兄様は、天竜八部衆が一人という公職に就いているから、たまにあること。
けど、何の御用事か。ひょっとして天帝様も来月の収穫祭に興味があるとか!
「七日後に善見城で天帝の生誕式典があるというのに登城命令か?まさか早く来いっていうのか」
「いえ…登城命令は、王宛てでは…」
凪が、そう端切れ悪く呟いたのち、チラッと目線を移したのは…。
…私だ。
「ら、羅沙様…」
「…え?」
「この登城命令は…羅沙様宛てでございます…」