婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
最初は窃盗二件と転売の罪で咎められるのかと思っていたが。
冷静になってよく考えると、私はそれ以上にとんでもないことをしている。
歓迎されておらず、みんなに嫌われていたけど、仮にも婚約中。
そこから無断で逃げ出したのだから、竜族だって面汚しに合ったと不服を申し立てられても仕方がないのだ。歓迎されてなかったけど。
豪鬼のいう『竜族怒ってんじゃね?』も頷ける。
私を探しに来なかったのも、敢えて探さずに、そのまま天帝様にご報告して、公の場で断罪させるつもりだったのでは…!
「…随分と被害妄想が激しいな。いつもだけど」
「だ、だってそうとしか考えられませんっ!」
「おまえと竜王の婚約は公にはしてない。だから、おまえの行いは罰にはならない。窃盗転売は知らん」
「あ、そうでしたか」
いやいやお兄様。窃盗転売の件もご考慮下さい。死に直面していて仕方なかったのです。
すると、私達を乗せていた転移術式の術陣は、動きを止める。目的地に着いたようだ。
お兄様は、早々とそこから降りてしまう。
「…本当は、この式典で天帝に報告する予定だったんだけど」
「え?何ですか?」
「いや別に」