婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

その場で肩を落としたまま立ち尽くしていると、向こうの方で女性のヒソヒソと話す声が聞こえてくる。

数人が集まり、明らかに私の方へと嫌悪の視線を向けていた。

…あの方々は、黎奈様のお世話をしている侍女たちだ。

あれ?黎奈様は出立されたのにお留守番?



「あら?侍女も付けずにお一人で、何て無防備な…竜王様の正妃としての自覚はあるのかしら」

「天竜八部衆の神将、夜叉王様の妹君ですから?…まあ、ど田舎の王領で剣技に精を出していたのですから、強さには大層自信がおありなんでしょうけど?」

「先程『待って下さい』だなんて…主君のお見送りも静かに出来ないのかしら」

「まあ。気を惹こうとでもしてるのでは?ろくに相手にもされてないくせに」

「しょうがないことでしょう。うちの黎奈様や朱嘉様とは違って愛想もありませんし?」

「夜叉王様の妹君ですから?さぞご聡明なんでしょうね?」

ヒソヒソヒソヒソ…聞こえてますよ。

いや、敢えて聞こえるように言ってるのかもしれない。



問題その壱。

どうやら、私、嫌われているらしい。

この水晶竜宮内で、あまり良く思われていないのは確かだ。

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