婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
聞こえる陰口は、まだ続く。
「ご聡明、とは言いましても?どうせ先の夜叉王様の【不貞の子】という曰く付きじゃないですか?」
「…実際、本当の子かどうかも怪しい身分だわ?その証拠に、王族の血を引きながらも神術がひとつも使えないって」
「そんな王族かどうかもわからない【不貞の子】が我が王の正妃となるだなんて…あぁ」
「竜王様も大事な御友人の頼みとなれば断れなかったのかしら?お優しい御方ですから…」
グサグサと胸に突き刺さる陰口、噂話。
あまりにも聞いてられず、たまらなくなったが。
それを悟られないように、何も聞こえない平然なフリをして、その場をさりげなく離れた。
大広間から離れ、一人とぼとぼと歩く。
足を進めるに連れて、行き交う人が徐々に少なくなり、静けさが訪れていた。
…蒔かぬ種は生えぬ、というが。
芽が生えているのを見つけると、ここぞとばかりに面白半分に掘り起こそうとするのが、噂話。