婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

「う、うん!」



豹牙に誘われるまま、恐る恐ると椅子に近付く。…座面、布なんだけど。大丈夫?破れたりしないのかな。

だが、私より重いと思われる男の豹牙が普通に座ってるんだから大丈夫だろうと、自分なりに結論付けて、勢いで座る。

「ひゃっ!」

声を上げた私に、豹牙は「わはは」と笑う。

座ったお尻がズボッと吸い込まれる感覚がしてビックリしたが…あ。

何か楽。座り心地が良い。力がフッと抜けて楽。

良い感じに背もたれに身を預けることが出来ちゃう。寛げる…!簡素な作りなのに!

わあぁぁ…。



「その様子だとええ感じなんだろ?な?」

「うん!…これ、座ってて楽!いいよー!見た目より全然しっかりしてる!」

「むふふー。でしょ」

思い通りの反応を私から得られたからか、豹牙の顔は更に不敵な笑みとなる。

「これに座って焚き火の炎を見るのよ。それが俺のマイブーム」

「まいぶーむ?」

「自分なりに好んでるってこと。人間界の横文字はダメかおまえ」

「………」

横文字、とは。何。
< 95 / 440 >

この作品をシェア

pagetop