大好きだった
「おはよう、春花」
ヒラヒラと手を振り時雨がやってくる。
「おはよ。」
「……また泣いたのか?」
じーっと顔を見つめてくる。
「………うん、まぁね」
微笑みをうかばせたいが、きっとひきつった笑顔になっているだろう。
「元気だしなよ!じゃあ、今日は帰りカフェでも行くか!」
「わぁっ!」
グイッと手を引っ張られ私は1歩踏み出した。
(ダメだなぁ。元気出さなきゃ。)
「キャッ!……ごめんな………っ」
人にドンッとぶつかってしまった。
「大丈夫?すいません。」
カァァッと目の縁が熱くなるのを感じる。
「だ、大丈夫です。」
「本当にごめんね。」
そう言ってぶつかった人は行ってしまった。
「?春花?おーい」
(な、何?今の人?)
時雨の声が聞こえるけれど、何を言っているか分からない。
だって今の人が物凄く壮夏にそっくりだったから。
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